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1/100人のマネージングリーダーになる The Excellent Managerコラム

2020.3.19

管理職になりたくないメンバーが急増

最近マネージャーの方と話をしていると、「マネージャーになりたくない」メンバーが多くなっていると聞きます。
必ずしも目指すことが全てのメンバーにとって良いことと言うつもりはありませんが、それにしても寂しい話なので今回は「管理職になりたくないメンバー」について考えてみます。

なぜ、そのようになっているのか?
・生き方の多様性
若い人を中心に人生をどのように生きて行くのか?という意味おいての選択肢は確実に広がっています。所得に関しても、過去においては「生活のため」という大命題があったのですが、今は普通に生活をしていくために必要な最低限の所得は会社勤めでなくとも稼ぐことが可能です。会社についても評価に変化が見られ、かつての「寄らば大樹の陰」から、(業態にもよりますが)今や、従業員はできるだけ少ない方が変化への適応能力が高く、テクノロジーの急速な進化、社会実装と相まって、長期的なビジネス成長の面でかなり有利だという考えが広がってきています。そのことは若い世代だけでなく中堅、ベテランメンバーにも波及しており、いわゆるシニアと呼ばれる「逃げ切れる世代」を除いては、その理解の広がりを止めることはできません。10年先にその会社があるという保証は無く、そうなれば今の会社で「出世」を目指す意味は必然的に薄れていくということでしょう。

・マネージャーに魅力がない
マネージャーその「人」に魅力がないということではなく、その「ポジション」に魅力を感じないという意味です。マネージャーは超多忙であり疲弊感も体全体から滲み出ているのでしょう。働き方改革によって更にマネージャーにしわ寄せがきている職場もあるとも聞きます。メンバーから見て率直に「楽しそうに見えない」「ただ辛そうに見える」のであれば、当然「マネージャーを目指そう」という気持ちにはなりにくいですよね。しかし、これについてはこのままでは引き下がれませんよね。そもそもメンバーは未だマネージャーの「楽しい面」「素晴らしい面」例えば「チームで何かを成し遂げられた時の嬉しさ」や「メンバーが徐々に成長していき強いチームになっていく様を目の当たりにする喜び」などを実感する機会が無いのですから、今この瞬間のマネージャーの「一面」だけを見て全てを判断するというのは勿体ないことです。

「マネージャーになりたくない」メンバーの増加が及ぼすリスクとは?
・メンバーの成長に対する伸びしろが限定的
やはり一段も二段も上を目指したい思いがあるからこそ「伸びしろ」が広がってくると思います。今の会社に固執するとかしないとかは別にして、この先、メンバー自身が将来「こうなりたい」「ああなりたい」という気持ちが芽生えてきた時に、すべての面で成長が過去に止まっていたら「もうどうしようもない」ということになります。長寿命の日本ですから「少なくとも80歳までは元気に働きたい」となった時に選択肢が極めて限定的になることは本人にとっては明らなリスクです。メンバー自身が長い人生を見通して「自分がマネジャーになるべきではない」という確固とした信念のもとにそう決めているのであれば別ですが、大抵の場合はそうではなと思います。

・次世代のリーダーを育てる土壌が悪い
チーム内の多くのメンバーが「マネージャーになりたくない」という考えになっているのであれば、次世代のリーダーを育む土壌は無いと言い切って良いでしょう。マネージャーの最も重要な仕事のひとつに「次のリーダーを育成する」ということがありますが、このままではそれを達成できる可能性は「外部から候補を雇う」以外に無いということになります。これはチーム、引いては会社にとって将来的に大きなリスクとなります。

本質的な問題は何か?どうすればいいのか?
・マネージャーが自分らしく生きていない(仕事を含めて)
マネージャー自身が自分に真摯に向き合った時に「辛い」と感じるのであれば、それは「自分らしく生きていないから」と考えた方がいいでしょう。自分は「将来どうありたいのか?」を今一度整理(思い出す)し、そのために「今をどう生きるべきか?」ということを仕事だけでなく人生レベルで俯瞰しながら見直し修正することが必要です。

・メンバーの将来と今が紐づいていない
メンバーについても同じことが言えます。あくまでマネジャー自身が先ずは修正することが先ですが、その上でメンバーについても同じように修正をサポートをすることが必要です。そのためにはメンバーとの信頼関係は必須となります。信頼関係なくしては、例えば「80歳まで働く場合はどう設計するのか?」という「人生の話」はおろか「キャリアの話」も本気で話してはくれないでしょう。メンバーが今見えている(思っている)という短期レベルの認識ですら合っているかどうかなどわからない時代です(既に誰にもわからないのですから)。ましてや数十年先のことなど読めるはずは無いのですから。となれば、今の仕事を通じて身につけられることが「将来にどのような影響があり、どのくらい大事になるのか」について紐付けてあげること、それはマネージャーを担ってこそ「身につけることができる」ということもマネージャー自身の体験ベースで伝えてあげることが重要です。

メンバーの多様な生き方は尊重すべきだと思います。しかし、将来が見えていないメンバーが安易な考えのもとにキャリアの間口を自ら狭めるようとしているようであればマネージャーがサポートする必要があります。
そのためには、先ずは「マネージャー自身が自分らしく生きる(仕事も含め)」ことが大事だと私は考えます。

エクセレントマネジメントワークス 原田 貴之