マネージャーに限ったことではありませんが、仕事をしていると「言い訳をしたいと言うかキチンと説明したい」という場面はしばしばあります。ということで今回は「言い訳をしない理由」について考えてみます。
当然の主張
ビジネスパーソンである以上「一所懸命やったものの結果が伴わないこと」がよくあります。
結果はあらゆる要因が複雑に関係したひとつの答えであることから上手くいかなかった場合は自分なりに「何がよくなかったのか?」について冷静にいろいろ考えるものです。
大抵の場合、自分だけのせいではなく関係する人なのか部門なのかわかりませんがとにかく自分以外の要因も関係していたということが分かってきます。
その場合、どうしても自分の中で自分を正当化しようとする意識が芽生えてくるものです。客観的に見てそれは事実であるため「当然の主張」であり仕方のないことだと思います。
私はそこで敢えて「言い訳をしない」ことをお薦めします。「言い訳をしない」とは自分以外に対してもそうですが自分の内面に対してもということです。
言い訳のデメリット
私がそのことについて考えさせられることになったのは、あるテレビ見たことがきっかけです。
もう随分前になりますが、それは、あるスポーツに親子(お父さんと小学生の娘さん)で懸命に取り組んでいるドキュメンタリーでした。詳細ははっきり覚えていませんが毎日毎日一生懸命に練習に取り組んでおられました。娘さんはその地元では有名な子らしく当然二人は大会での優勝を目指していました。大会が始まりその子は順当に勝ち上がっていく訳ですが準決勝なのか決勝なのか忘れましたがとにかく惜しくも負けてしまいました。
試合後の控え室でのことです。娘さんは人目も憚らず泣いていました。当然のことでしょう、まだ小学生でしかも遊ぶこともせずに大変な努力してきた訳ですから。
お父さんも娘の頑張りを労うものかと思っていると違っていました。お父さんはその子に「泣くな!」と諭していたのです。私もその時点では「お父さん熱血だなぁ、あれだけ頑張ったのだから優しい言葉のひとつでもかけてあげればいいのに」などと思って見ていました。
しかし、そのあとスタッフの方がお父さんに「厳しいですね」というように声をかけた時だったと思います。そのお父さんはこう答えたのです。
「違うのです。娘は頑張ったしよくやった。でも泣いたらダメなんです。泣くと気分がスッキリするので勝つことへの執念が鈍るからです。」私は考えさせられると同時に確かにそうだと思いました。「泣くとスッキリする」自分も子供の頃にそういう経験がある。これはビジネスの世界でも同じことが言える、大人ですから泣くことは無いまでも達成への執念を鈍らせることがある。それは言い訳だと。
もうひとつの理由
執念(マインド)と共に言い訳のもうひとつ残念ことがあります。それは自身の成長機会を阻害することです。言い訳は自責の範囲を狭めます、当然修正を加える事柄も身につけなくてはならないスキルの数も少なくなります。単純に上手くいかなかったことから学び量が減ると言うことです。そうなると次の仕事の成功確率が自ずと下がります。これはある意味勿体無いことなのです。
「言い訳をしない」というのは「いい人に見られたい」訳でも「潔い人」に見られたい訳でもなくビジネスパーソンとして自分の成長機会をおいしく使いたいということなのです。
そのように捉えることで自分にとって「言い訳はしない」は意味のあることになり自分の心をコントロールすることもできるのです。
説明が必要な時は
気をつけるべきは、黙って責任を取れと言っている訳ではありません。
上手くいかなかったことを説明する場合、キチンとよくなかったことを説明することは大事です。しかし良くなかったことの原因の一旦は自分にもあり、それに対して何を学び何を身につけ次はこうします。という流れで説明することが大事です。
こういったこともそうですが、自分の中でのルール決めでは自分にとって意味のあるシンプルなロジックと共に自分に言い聞かせることが大事になります。
そうすることで折れそうになる場面でも乗り越えられるからです。
プロフェッショナルとは、どんな状況でも「言い訳」せずに常にベストを尽くす人だと思います。頑張ってください。
エクセレントマネジメントワークス 原田 貴之