ミーティングについてのマネージャーの課題と言えば「意見がなかなか出ない」ということではないでしょうか?
今回は特に意見を出し合いたいブレインストーミングについて考えてみます。
参加者の心情より
先ず意見が出ない原因を参加者側から考えてみます。
Aさん:思いつかない。。。(自分はこの議題にはあまり関係がない。不得意な領域の話でよくわからない)
Bさん:ピンボケなことを言ってしまったら恥ずかしい。(自分に自信がない。周りのフォローがないのが怖い)
Cさん:意見を言っても直ぐに否定する人がいて言う気にならない。(あの人はいつも否定する。マネージャーは意見を出してと言うがすぐに否定してくる)
Dさん:言っても無駄。(どうせマネージャーは最初から決めていて最後はそれに従うしかないし)
Eさん:ミーティングに納得していない(そもそもミーティングなんてやっても無駄だと思っている。議題となっている課題は解決できるわけがない)
仮にこのような5名が参加していれば意見が出る可能性は殆どなく全然盛り上がらないでしょうね。
主催者側の上手くいったブレストのイメージは、「前向きな意見が活発に出ている、意見が段々修練されていき最後は全員が納得してことに当たることが合意される」ではないでしょうか。
とすればあまりにも大きいGapと言えます。そうはいっても結構よくある話ではあるのですが。
ミーティング(ブレスト)の基本について
主催者が基本的に行わなければならないことについて押さえておきます。
1、事前案内でミーティングの主旨を説明しておく
資料についてはブレストに限って言えば事前に配布しない方が良い、何故ならば資料を配布すると事前に考えることになりそうすると発想が矮小化して意見がこじんまりするためです。上述の何人かのメンバーには必要に応じて個別に期待や役割を伝えておく。
2、時間通りに始める
これは絶対です、ミーティングは主催者が参加者の貴重な時間を奪う行為であるため全員集まっていなくても時間は厳守です。
3、冒頭にミーティングの主旨を全員で確認する
参加者の貴重な時間を奪うということは全員の時給分のコストが掛かっています。従って主催者は改めて「今日は何のために何をする」ということを改めて参加者に納得してもらわなくてはなりません。万一「何をしたいのかわからない」雰囲気になった場合は思い切ってそのミーティングは中止すべきです。何故なら主催者の思い入れが全然入ってないからです。それほど人の時間を奪うことは大変なことなんだという意識をもたせるためにも勇気をもって中止しましょう。
4、最初にマネージャー(最も上位の人)はかなり大胆で到底実現不可能な意見を意識的に言う
参加者は無意識にその範囲でしか考えず意見も出さないので突拍子もないことであればあるほど議論の範囲は広がります。最も上位の人であれば若干すべり気味でも何とかお愛想で参加者は笑ってくれますので。逆にマネージャーが最初に「正解らしき意見」を言うともう誰もその軸から離れられません。その時点でそのブレストは失敗しています。
5、全ての意見を否定しない
例え的外れな意見でも「なるほど!」はうまく使いながら後でまとめていく段階でパーキングロット(次回以降の検討項目)に入れてその意見を出した人に恥をかかせないように配慮しながら進めます。
6、時間通りに終わる
これも絶対です。理由はもうお分かりかと思います。
如何でしょうか?基本を押さえるだけでAさん、Bさん、Cさん、Dさんの4人の問題は解消に向かいそうですよね。
人は良いミーティングは覚えてる
現実には1回では到底上手くいきません、しかし繰り返しおこなうことで必ず雰囲気が変わってきます。どこかの時点で良いミーティングになったらしめたものです。参加者はその良いイメージを覚えていますので同じ主催者のミーティングへの参加は楽しく思えてもらえるようになります。Eさんについては別の問題があるはずです。議題の背景にある戦略への不同意だとか主催者に対する何らかの不満といったことが考えられますがいづれにしても別のコミュニケーションをすべきです。
さて、基本を忠実に押さえながら繰り返すことでミーティングの中身が段々良くなることはご理解いただけたかと思いますが、最も重要なことは「決めたことをやる!」ということです。いくら盛り上がって決めたこともその場限りであったり、時間が経つうちに段々トーンダウンしてしてしまっては意味がありません。もちろんマネージャーが実行管理の責任を担っていますのでしっかりやればいいということにはなりますが、参加者が自発的に行動をし続けるような仕掛けができたら最高ですよね。
高度なテクニックになりますが練習を積めばそのような仕掛けがうまく出来るようになります。その方法論や練習方法についてはワークショップ等で紹介していきたいと思います。
エクセレントマネジメントワークス 原田 貴之