警鐘なのか?不満なのか?
私の印象のひとつに「できる奴は文句言い!」というセオリー(?)があります。
と言うことで今回は「仕事はできるが不満も多い」メンバーについて考えてみたいと思います。
先ず常に判断するべきこととして、その文句は「警鐘なのか?不満の訴えなのか?」と言うことがあります。「警鐘」と判断した場合は有無を言わさず即対応なのは言うまでもありませんが、「不満」の場合はじっくり腰を据えて対応していく必要があります。
不満の放置は「もったいない!」
不満の要因は様々ですが大きく3つに括ることができます。
1、自分に対する扱い(評価や日々の扱い等)
2、周りのメンバーについて(スピード感や仕事に対する向き合い方が容認できない等)
3、会社やチームの方針や戦略に同意できない
いづれにしてもマネージャーが認識すべきは「そのメンバーの最大パフォーマンスを引き出している」とは言えない状況であるということです。(もったいない状態)
マネージャーとしては放置できない問題です。何故ならば「個人を良い状態にしておく」&「チームを良い状態しておく」(=最大のパフォーマンスを発揮できる状態にしておく)ことはマネージャーの最も重要な仕事であるからです。
では、皆さんならこのメンバーに「どのような状態になって欲しいですか?」ということですが、
私の場合は「リーダーシップを発揮して前向きに他のメンバーを引っ張って行って欲しい!」と考えます。(そのように考える方も多いのでは)
そうは言っても頑張っているメンバーその源泉は?
そこで、なんらかの手を入れるわけですが私なら何から始めるか?について進めてみます。
先ず、メンバーのことをよく知ることからです。かしこまった面談でもいいと思いますができればもっとリラックスした状態の形の方が話しやすいのでお勧めです。目線や沈黙を考えて横並びに座るようにします。
いろんな話をしながらになりますが確認したいことは1点だけです。
そうは言ってもそのメンバーは頑張っているのですから「そのモチベーションの源泉は何なのか?」ということです。
会社やチームの理念、VISIONやMISSIONへの共感は当然あると思いますがそれだけでは無いはずです。
予測されることとしては、
a)自分のキャリアビジョンやなりたい姿など目指すことがしっかりあってそのことと今の仕事を結びつけている。
b)とりあえず生活のため。(要はお金のこと)
c)将来のことについてはわからないがとにかく何をするにしても誰にも負けたくない。(プライド高い)
などがありそうです。
もし、メンバーがあまり話したがらなかったり、表面的な受け答えのように感じたなら「自分は未だ信頼されていない」と認識すべきです。誰しも未だ信頼が十分でない人にそのようなことを聞かれても心開いて話したくは無いでしょうから。その場合は地道にはなりますが信頼関係の醸成も同時に行って行かなくてはなりません。(信頼関係の構築の第一歩は自分の人間性を磨くですがあまりに抽象的なので今後詳しく書きたいと思います)
前向きに促す!
次に、「どのように促していくか」についてに進めます。
a)の場合についてはかなりエンゲージメントも高い状態にあるので、
・仕事に対する考え方について100%の同意を与える。
・本人のビジョンと今の仕事の結びつけについてさらなる肉付けを助言する。
・マネージャーからの期待値を明確に伝える。
あとは日々前向きな行動に対して「承認」を与え続けることで十分です。
b)c)の場合、本人が言っていることは違うのですが対応において大事なポイントは同じです。
今の会社でのキャリアビジョンは描けていないのは(若手メンバーであれば)それほど問題ではないのですが自分が将来どのようになっていたいかが不明確であればそこから始める必要があります。そしてそのことと今の仕事の紐付けをしっかり付けられるようにサポートすることがとても重要になります。あとはa)と同じく期待値を明確に伝えること、前向きな行動に対する効果的な「承認」を与え続けることです。(自分のゴールと今の仕事の紐付けについては別コラムの「会社の評価と自己評価のGapが大きいメンバーへの対応」を参考にしたいただければと思います)
特にb)については、会社が業界最高峰の報酬体系であればいいのですがそうでない場合は先々転職のリスクがありますので注意が必要です。
対応の肝は「前向きに!」です。往々にしてメンバーの不満を解消する事ばかりに気が行きがちですがエンゲージメントの観点からは先々に繋がるような本質的な部分の修正が大事になります。
とはいえ、最初に挙げた不満を全く放置という訳にはいかないのも現実ですからその点にも触れておきます。
不満1)メンバーの評価の方法について理解されていないのはマネージャーの問題ですから先ずは丁寧に説明します(何が評価されて何が評価されないのか)。評価の仕組みが良くない(つまりマネージャーがやって欲しい行動が評価されるように設計されていない)ならば早急に直すことにします。
不満2)チームの必要性についてディスカッションしながらメンバー自身が自分の言葉で表現し出すようにしていきます(チームビルディングの回が参考になりますので見ていただければと思います)。それにプラスして「希少性」の話をします。もし世の中の会社員が全員がそのメンバーと同じように頑張ってるとしたらもはや希少では無くなります。ということです。(希少性と所得は連動します)
不満3)これもディスカッションをしながら細かく同意を得ることをしていきます。「この点は同意」「この点も同意」「あとはここの点が肚落ちしないんだよね」という感じで同意できないところを鮮明にしつつGapを詰めていくようなイメージです。もしメンバーの意見が理に叶っている場合は方針や戦略の修正に躊躇せずに変えます。お互い「もっと良くするために」のマインドでディスカッションすることが重要です。人は自分のアイディアや考えを愛でる習性が必ずあります。メンバーにとっては会社やマネージャーが決めた方針や戦略であっても一部自分の意見が反映されることで自分の方針、自分の戦略に一瞬で変わります。成果の出る確率も当然高くなります。そうなれば、正にマネージャー冥利に尽きるというものです!
エクセレントマネジメントワークス 原田 貴之