マネージャーの方と話をしていてよく話題になることの一つに「会社からの評価より自己評価が高いメンバー」が少なからず存在する、しかも、そこそこのGapもあって…ということがあります。更にそういったケースへの対応に苦戦していることも多いということで今回テーマにしてみました。
原因の本質を探る!
先ず、なぜそういったことが起きるのか?について考えてみます。
本人側として考えられるのは、
・防衛本能が働いている。この点については誰でも傷つきたくは無いですから分かる気もします。
・不信が存在する。会社、上司、先輩、同僚に対して。原因は様々でしょうがこれもよくあります。
・戦略や指示に納得していない。例えば営業であれば「顧客志向という点についての考えが違う」とか。
といったところでしょうか。(挙げればキリがないくらいあると思います)
いづれにしても、ひと言で言えば「そのメンバーは良い状態に無い!」ということは間違い無いんだろうと思います。
リーダーとしての思考!
では、これは誰の問題でしょうか?について考えてみます。
仮に私がこのメンバーの上司とすると、間違いなくこれは私の問題と言えます。何故なら「メンバーを良い状態にしておくことはマネージャーの最も重要な仕事のひとつだからです。(これに限らずですが様々な問題に対してマネージャー自身が誰かのせいではなく自分の問題として捉えることが全ての出発点になります)
メンバーとマネージャーの理想的な関係とは?
次に、どうなれば良いのか?について話を進めます。
私の考えは、「尊敬/信頼関係を作り直す」の一点に尽きます。今回のようなケースでは少なからず尊敬/信頼関係の面で不十分な状況があるからです。この点にしっかり取り組む必要があります。
何故なら尊敬/信頼関係が再構築されていくにつれてメンバーは、
・心理的安全性が高まる。
・不信感は少なくとも上司には無くなる。
・戦略や指示に対する理解をしようとする。
・自分に対する期待値を知りたくなる。
からというのが理由です。
鍵は「紐づける」こと!
では、そうなる為には?ということですが、いくつかのことを同時に進める必要があります。
・上司である私の人間性を磨く。(最低でも常に人として正しいと周りに認知されるように)
・メンバー本人のありたいゴール(死生観)と今の仕事を紐づける+チームの戦略とも紐づける。
これについては少し説明します。
ここで言う死生観とはなにも難しいことを言ってるわけではありません。単に自分が一生を終えるときに「どんな人生だったと思いたいか?」ということです。大方の人は「いい人生だったなー!」「家族にも恵まれたなー!」「いい友達もできたなー!」「少しは周りの人の役に立ったなー!」ということだろうと思います。それで十分です。それがその人の最終的にありたい姿でありゴールなのです。重要なことは自分の本当のゴールについて真摯に考えることと、そのことを忘れないことです。
そしてそのゴールに向かうために今やっている仕事を紐付けてあげること、つまり「今の仕事は無駄じゃ無い!」、「何かを身につけるために必要なことなんだ!」、「それをお給料貰いながらできるということは一石二鳥だ!」ということをロジックを使いながら促し最終的にはメンバー本人が自分の言葉で話し出すように陰ながら導ければ最高の形です。同時にチームの戦略が肚落ちするように、「ここは同意」、「これも同意」、「あとはここが肚落ちしないんだね」、というように細かく合意を取り付けながらGapを鮮明にしてそのGapを詰めていくようにしていきます。
・「承認」をうまく使いながらエンゲージメントを高めていく。(これについてはエンゲージメントの回で触れていますのでもしよかったら参考にしてください。承認の使い方はいつか詳しく書きたいと思います)
ということでまとめますと、「尊敬/信頼関係を作りながらエンゲージメントを高める」ことを同時におこなう必要があるということです。
この問題を「マネージャーがメンバーに期待値をキチンと伝えていないことが問題なのだからそれだけしっかりやれば良い!」と考えている方もいらっしゃると思いますが(それはそれで大事な点なのですが)それだけでは本質的な改善にはならないと私は経験上かなり確信をもっています。
習慣化には自分にあった練習方法が必要!
とはいうものの、「そんなに簡単にいかないから苦労しているんじゃないか!」という思いを持たれる方も多くいらっしゃることでしょう。かく言う私も「その通り!」だと思います。
マネージャーの能力もそうですが物事ができるようになる(習慣化)にはそれなりの練習(訓練)が必要になります。
練習方法ですが私の経験から自分の生活パターン(朝起きて寝るまで)の中で効率よく無理なく続けられるように開発することが肝になります。ダイエットでも筋トレでもそうですが懇切丁寧なサポート体制をお金をかけて整える場合を除き、盛り上がった気持ちだけで無理な計画を立ててしまうとほとんどの人は途中で挫折してしまう結果となってしまうことと同じです。(精神的に凄く強い人は別なんでしょうが少なくとも私は挫折派です。。)
The Excellent Manager ワークショップ セッションおよびビジネスメンター相談では、それぞれのマネージャーが直面している環境に合わせて進むべき方向性とそこに向かうためにマネージャー自身がブラッシュアップしなければならないこと、そしてそれを身につける(習慣化)させるための訓練方法を一緒に開発することを主眼においています。
是非、お気軽に「お問い合わせ」を頂けたらと思います。
エクセレントマネジメントワークス 原田貴之