ビジネスメンターとは
ビジネスメンターとは
「メンター」という言葉は何となく聞いたことがあるのではないでしょうか。プレゼンテーションが上手にできなかったり、商談が上手くまとめられなかったりといったことでいつも悩んでいる人がいる一方で、迷いなく決断し、行動をとり、成果を出し続けて仕事をしている人もいます。そうした両者の違いは、実は、自分の人生を上手に導いてくれる「メンター」がいるのかいないのかという点で違うのかもしれません。
今回はこの「ビジネスメンター」とは一体何かということと、ビジネスメンターを制度として導入するメリット、それから適切なメンターの探し方についてご紹介していきます。「どうしたらいいメンターと会えるんだろう」とか、「メンターと関係を築くことができない」「誰をメンターにすればいいのかわからない」といったことでお悩みの人は、是非ともご参考にしていただけましたら幸いです。
まずはメンターという言葉についてしっかりと理解していきましょう。
メンターとは、助言を与える人や指導者といった意味です。所属する上司などからも指導は受けますが、それとは異なり、公私様々な面で師となる存在という意味も含まれています。個人的な問題や悩みなどにも幅広く解決の道を示し、ビジネスにおいては、心の持ち方や業務をしていく上で必要なアドバイスを与える人のことなのです。
ちなみにこの言葉は、元々はギリシャの詩人ホメロスが書いた叙情詩「オデュッセイア」に登場する、主人公に助言を与える老賢人「メントール」という名前が由来です。
現在メンター制度がこれだけさまざまな企業で広まっている理由は、企業が抱えている「離職率の増加」「師弟関係が築かれにくい職場環境」 「師弟関係が築かれにくい職場環境」によるものと言えるでしょう。
現在では入社3年以内の若手社員の離職率の高さに悩む企業が増えています。早期離職の原因は、「社内の人間関係がうまくいかない」とか、「仕事に馴染めない」「職場の中に馴染めない」などといったことが多いです。職場環境が時代とともに変わり、従来の先輩・後輩や上司・部下といった分け方に限界がきて、適切に新入社員を導いてくれる人がいなくなりつつあるのです。
古い上下関係が崩れつつある原因は、終身雇用や年功序列制度といった師弟関係の築きやすい職場環境が、現在では徐々になくなりつつあるものとなってきているためです。実力主義の組織体制に変わってくるにつれて、よりフラットな組織に方向転換する企業も多くなってきています。それ自体は悪いことではありませんが、フラットな組織になったことによって、若手社員が「どのように業務を進めていけばよいかわからない」や、「きちんと仕事に関して指導を行ってくれるような人間がいない」
そこで、指導者の必要性というものが高まってきており、「メンター」という新しい言葉で認識されるようになりました。終身雇用や年功序列といった企業文化の中では新しい人材を育成する風土が自然とできあがっていたものの、現代の企業文化では、より意識的に取り入れるようにしなければいけなくなっているということなのでしょう。
「先生と生徒」や「師匠と弟子」などのように指導する側がの名称があれば、指導される側の名称もあるものですが、メンターに指導を受ける人を「メンティー」と呼びます。必ずしも自然と師となりやすい直属の上司などではなく、他部署の年上の社員や、さらにはまったく業務上関係を持たない人など、あまり師弟関係が生まれにくい関係の中で生じる教育者と教育される側を呼ぶことが多い傾向があるのが、「メンター」と「メンティー」の特徴と言えるでしょう。
OJTとは(On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略で「職場内訓練」と訳され、こちらも現代のビジネスシーンでよく聞く言葉です。これは、実際に業務を進めながら上司や先輩が必要な知識スキルを計画的に指導し身につけさせていくシステムのことです。新入社員研修で一人一人がOJTを通じて様々な職務を体験し、人材の能力の底上げを図るものであると同時に、社内でのコミュニケーションなどを高めることを目指しています。
OJTとメンター制度は、一体どのような点で異なるのでしょうか。OJTも仕事の相談役となる先輩社員をつけるという点ではメンター制度と同様ですが、両者が決定的に異なる点は、メンター制度は、OJTと異なり、必ずしも現場で接触の多い先輩や上司を指導者とするとは限らないという点です。他部署の先輩や上司をメンターにすることなどもよくありますし、社外の人材をメンターにする場合もあります。
続いて、ビジネスメンターを会社に導入するメリットや注意点についてしっかりと理解しておきましょう。
メリットは以下の5つです。
新入社員や若手社員は、新しい職場の環境に馴染むまでが大変で、そのせいで会社へ通うことが苦痛に感じてしまうことも起こりえます。そのような時、気軽に仕事の悩みを相談できるような人がいたり、アラートを上げやすい環境にするためにメンター制度が有効です。それによって仕事への意欲を高めることができるようになりますし、途中で何かつまずいた場合も、すぐに不安が解消され安心して働くことができるようになるのです。
OJT制度などといった教育方法などもありますが、同じ部署の先輩が教えることが多いのに対し、メンター制度では別部署の先輩社員が担当することもよくあります。従って業務でなかなか関わりを持ちにくい他部署の先輩などとも知り合いになることができるので、自然と人脈を広げられるというメリットもあります。
入社したての頃は些細な悩みもなかなか相談することができなかったり、先輩や上司に気を遣い過ぎてしまって業務が進まないということが起こります。メンター制度によってそうした業務の無駄な停滞を避けることができ、結果的に業務が効率的に進むようになります。若手だと「こうしたことを聞いてもいいのか」といった初歩的なところでつまずいて時間を使ってしまうことも多いですが、そういった無駄が省ける分、全体の成果向上も目指せるようになると言えるでしょう。
女性の職場での活躍は現在ではもはや当たり前となってきていますが、そうは言っても、妊娠や出産といったライフイベンにまつわる問題について、会社の対応がわからず困っている女性も多いものです。そういった点についても女性のメンターを手本にできたり、相談に乗ってもらったりできるようになるため、メンター制度によって女性がキャリアビジョンなどを描きやすくなります。社内の女性活躍推進に大きな効果を発揮するという面でもこの制度はとても有益です。
指導するメンターの側にもメリットがあります。キャリア社員などがメンターになることで、指導を通じて、あらためて客観的に自らの仕事のやり方を検討するきっかけなるからです。教えるということは学び直すということ。後輩たちの相談に乗って今後のキャリアプランなどアドバイスしながら、自らの仕事をより合理的に進めていく方法に気付くこともありますし、また、メンティーがつくことによって、仕事にハリが出て、モチベーションアップにもつながります。
ビジネスメンター制度は上記のように良いことがとても多いですが、十分な成果を得るためにも、注意点についてもしっかりと理解して、適切に自社に導入ができるか検討しましょう。
メンター制度は両者の相性をしっかりと見極めないと悪い結果を招いてしまう可能性もあります。相談をしたせいでメンティーがストレスを感じるような結果になってしまえば逆効果で、将来への不安などをいたずらに膨らませてしまう可能性もあります。「楽観的か悲観的か」といったものの考え方や、「効率性重視なのか、それとも地道にコツコツ努力するタイプなのか」といったそれぞれの性格などをよく検討し、適切なメンティーに、適切なメンターを割り当てるように心がけましょう。
メンターは指導に時間が取られることになるため、負担が大きくなりすぎると、本業に差し支えが出る可能性があります。単にメンターを選んで終わりではなく、メンターの所属する部署全体をよく見渡し、メンターとして最低限行ってほしいことなどのルールを明確にしたり、できるだけ負担を軽くするようなサポート体制を敷いたりしておくことも忘れないようにしましょう。
仕事ができるからといって、指導もうまいとは限りません。人柄などでもメンティーとなる新入社員や若手社員の成長に差が出てしまうことは起こりえます。メンターへの指導や事前研修などを行い、完全にメンターに業務を丸投げしてしまうのではなく、メンターの方をしっかりと統率管理することも大切です。
良きビジネスメンターを見つける上での注意点として、質にばらつきが出てしまうといったこともありますので、その探し方のチェックポイントなどをしっかりと明確にしておくことがとても大切です。以下のようなチェックポイントをよく把握しておきましょう。
ビジネスメンターを導入する上で何よりも大切なのは、メンター側にしっかりとコミュニケーション能力があるかどうかという点です。気軽に話しかけやすい雰囲気や、後輩の気持ちを汲んで話ができるというような人でなければアドバイスも役に立ちません。自分の意見を頭ごなしに押し付けないで、聞き役にも回れる懐の深さもあるかといったコミュニケーション能力をよく見て選定しましょう。
しっかりと仕事の実績を積んでいるということはもちろんですが、失敗の経験を経ているかもチェックしましょう。目標に対して最短距離を示し、成果に結びつくアドバイスができるかどうかといったことは、成功体験よりも、失敗体験によるものの方が大きいものだからです。失敗を経て成長につながった経験などを持つ先輩などのアドバイスは、メンティーにとっても同じ失敗を繰り返すことを避けることができるようになり、大変有益なものとなります。
メンティーに対して愛情をもち、人助けができる人柄であるかどうかといったこともよくチェックすることが大切です。指導を「してあげている」といった目線からするタイプで、大切なアドバイスはしないで隠すといった人もいます。メンティーの心情に寄り添い、時には道しるべとして導いていける寛大さを持っていることもとても重要な要素と言えるでしょう。
【まとめ】メンターとメンティーのマッチングが成功の秘訣
今回はビジネスメンターについての言葉の説明や、メリット、それから良いメンターを探すポイントについてご紹介してきました。早期離職といった問題を解決するために大切になるのは、しっかりと導いてくれるメンターを新入社員に割り当てることです。しかしメンターとメンティーのマッチングには十分気を付けましょう。一人に成果が出たからすぐにメンターとしての能力に優れているとは限りません。メンティーの性格や能力などを個々によく見定めた上で、それぞれにもっとも適したメンターを割り当てるように心がけることが、成功の秘訣と言えます。
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